「ギンガク」ってなに?

正式名称は「銀河ホール学生演劇合宿事業」。いろんな意味で独特な事業です。


概要

 どこにも無い四季と湯の里をもつ奥羽山脈の山峡の町、岩手県和賀郡西和賀町。

 「銀河ホール」はこの西和賀町に平成5年に開催された国民文化祭の会場として建設された演劇専用ホールです。338席の客席、間口12.6m奥行9mの舞台、奈落、3.6m以上の舞台袖、稽古場としても使える3つの広い楽屋まで持つこの劇場は、演劇創造の現場として限りない可能性を秘めた空間といえます。「銀河ホール」ではこれまでにも地域演劇祭から国際的な演劇交流まで多岐にわたる活動を展開しており、平成21年度には総務大臣表彰「地域創造大賞」を受賞しました。更なる発展を見据えてまいりましたが、演劇・芸術文化活動に携わる多くの学生・若者たちのステップアップの場として創造活動の拠点となることを目指し、平成24年3月より学生・若者との提携運営による劇場施設を開放した合同合宿型演劇祭をはじめとする数々の企画を開催しています。

経緯

 ギンガクは2011年、湯田温泉峡旅館組合・組合長の「銀河ホールを活用した学生演劇の合宿はできないか」というアイディアに対し、かつて銀河ホールで職員をしていた演劇プロデューサーの仲介のもと、舞台芸術を専攻していた大学院生が「複数団体を誘致し、演劇祭を開催してはどうか」と提案したことからスタートしました。翌年1月には年度内の3月初旬にモニタリング合宿を開催することが決定。2月に「銀河ホール学生演劇モニタリング合宿実行委員会」が組織され、東京から参加した3団体の滞在制作・上演による「銀河ホール学生演劇祭」が開催されました。

 短期間でも参加団体が集まったこと、町民の理解を得られたことに手応えを感じた関係者は、2012年度より本事業を銀河ホールの主催事業とし、実行委員会も「銀河ホール学生演劇合宿事業実行委員会」に改称しました。実行委員会内には実動部隊として町内関係者による「企画委員会」と町外の学生・若者による「制作委員会」が設置され、「町内在住者と町外の学生・若者による恊働事業」というスタイルでの運営が始まりました。

 制作委員会からの提案により、はじめは冬季開催のみで想定されていた演劇合宿が「プレイ・タウン」という名称で夏季にも開催されることとなり、次いで美術の合宿「湯田温泉峡風呂美術大学」が温泉旅館とのコラボレーション企画というかたちでスタート。さらに2013年度からは町内の子どもたちを対象とした2つの隔月ワークショップ「放課後のちいさな芸術家」「ダンスの時間」にも着手しました。「学生演劇合宿事業」といいつつも演劇にとどまらず次々と企画を展開し、2014年4月には地方自治研究機構「平成25年度 地域に人を集めるための施策に関する調査研究」に事例研究として取り上げられています。

 

事業の全体像、各企画との関係

2014年度初めまでのヒストリーマップをPDFデータにまとめてみましたので、そちらをご覧ください。

ダウンロード
gingaku_historymap_2014
ギンガク事業報告_historymap_20140604.pdf
PDFファイル 201.2 KB

運営体制

 2012年度に改称した銀河ホール学生演劇合宿事業実行委員会では事務局を観光協会に置きつつ、運営のための下部組織として、旅館組合・銀河ホール(役場生涯学習課)・観光協会・劇団ぶどう座等による町内の実動部隊「企画委員会」と、全国に点在する学生や20代の若者による町外の実動部隊「制作委員会(のち町外企画委員会)」を設置。企画委員会では配宿・町内や近隣地域への広報・会計などを、制作委員会では企画立案・広報活動・参加者の募集と案内を担当していました。

 2014年度、制作委員のうち2名が西和賀町に「地域おこし協力隊」として着任したことにより、2つの実動部隊を企画委員会に統合。また、役場や観光協会の人事異動にともない、事務局を銀河ホールに移しました。ただし、この時点でも実質的な運営業務の分担は変わらず、町外の学生・若者が企画を提案し、町内の関係者が実現に向けて調整するというかたちで運営されていました。

 2017年度、地域おこし協力隊の任期終了にともない、1名が「西和賀町文化創造館アートコーディネーター」に着任。劇場の専門職員として事務局を担当することとなりました。また、実行委員会名を「ギンガク実行委員会」に改名しました。

 2018年度、企画委員1名と演劇合宿の参加者1名が「地域おこし協力隊」として、銀河ホールの演劇事業担当・美術事業担当に着任。企画運営の体制を維持しつつ町内への移住者を着実に呼び込み続けており、ギンガクは名実ともに銀河ホールの中心的な事業となりました。